前回は自宅の分割方法の工夫についてご紹介しました。
その中でトラブルを避けるために、遺言書を作成することを挙げました。
今回は遺言書の書き方のルールについてご紹介します。
遺言書の内容
遺言は万が一のことがあった場合に備え、
財産を「誰に、どれだけ、どのように」残すのか意思表示をしたものです。
遺言が書かれた書類を遺言書といいます。
遺言書で決められる内容は、財産の分割方法や財産を残す相手だけではなく、
民法により下記の内容を決めることが出来ます。
- 相続分の指定
- 遺産分割方法の指定
- 遺贈
- 相続人の廃除(および廃除の取消)
- 子どもの認知
- 未成年者の後見人や遺言執行者の指定
法定相続とは異なる希望がある場合や、遺産分割で争いが予想される場合は、
遺言書を作っておくことがトラブル防止にもつながります。
また、遺言書の内容は被相続人の意思として法定相続分より優先されますが、
その効力は無制限に認められるわけではありません。
遺留分を侵害した遺言書も有効ではありますが、侵害された相続人は、
遺留分侵害額請求によりほかの相続人などに遺留分を金銭で請求することが出来ます。
遺留分のほか、お世話になった人への寄与分の扱いや生前に行った特別受益への配慮も重要です。
いずれも相続人の間ではトラブルに発展しやすいため、
遺言内容は十分吟味して決めると良いでしょう。
遺留分・寄与分に関してはこちらをご覧ください!
→遺産分割の方法を知ろう!
遺言書が有効となる形式
遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の
いずれかの形式で作ったものが有効となります。
- 自筆証書遺言
自筆で遺言内容を書き、署名・押印するもの。
〈メリット〉
・内容やその存在を秘密にすることが出来る。
〈デメリット〉
・書式の不備等で無効になることがある。
・紛失や第三者による破棄等のおそれがあるほか、死後発見されないおそれがある。
ただし、自筆証書遺言書保管制度(自筆証書遺言の原本を、申請により法務局に預かってもらえる制度)を利用すれば確実に遺言書を残すことが出来ます。 - 公正証書遺言
内容を専門家(公証人)に伝え、作成後は公証役場に保管されるもの。
〈メリット〉
・紛失や第三者による破棄等のおそれがない。
・書式の不備が生じる心配がない。
〈デメリット〉
・一定の手数料がかかる。
・2人の証人が必要になるほか、公証役場に出向く等の手間がかかる。 - 秘密証書遺言
遺言の内容は自分で作成し、その存在のみ公証役場で証明してもらうもの。
〈メリット〉
・内容を秘密にでき、紛失や第三者による破棄等のおそれがない。
・パソコン等の使用や代筆が認められる。
〈デメリット〉
・書式の不備等で無効になることがある。
・2人の証人が必要になるほか、公証役場に出向く等の手間がかかる。
終わりに
もし遺言書に「葬儀には〇と〇を呼ぶ」等の内容を書いても、それには法的効力はありません。
遺言書は有効となる形式で、法的効力を持つ内容を記しておきましょう。
しかし、相続で争いにならないように生前に財産を渡しておこう、
という場合もあるかもしれません。
次回は相続税対策として有効な生前贈与と、それに伴い生ずる贈与税についてご紹介します。
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