以前、全5回で相続の流れを解説しました。
今回はその際にお伝えしきれなかった「小規模宅地等の特例」について詳しく見ていきます。
相続税の申告
相続開始日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告・納付をしなければなりません。
十分な期間のようですが、財産を把握し、
分割方法を決めるまでには意外と手間や時間がかかりますので
財産管理や遺言書の作成等対策をしておくとよいでしょう。
申告書は被相続人の住所を管轄する税務署へ提出しましょう。
納付は金融機関等で、原則現金一括で行うこととなります。
これから紹介する小規模宅地等の特例ですが、
特例を適用した結果、相続税がかからないという場合でも申告は必要ですのでご注意ください。
小規模宅地等の特例
被相続人の自宅や事業で使用していた宅地は、
一定の要件のもと評価額は最大80%減額されます。
これを小規模宅地等の特例といいます。
特例の対象となる宅地には、
特定居住用宅地と特定事業用宅地、特定同族会社事業用宅地、貸付事業用宅地
があります。
今回は特定居住用宅地と特定事業用宅地の2種類をご紹介いたします。
- 特定居住用宅地
被相続人が住んでいた自宅の土地、被相続人と生計を一にする親族が住んでいた宅地のこと。
誰が相続したのかによって、適用を受けられる条件が変わります。
【被相続人の配偶者が相続】
無条件で特例の適用を受けられる。
【被相続人と同居の親族】
相続開始の直前から申告期限まで引き続き住み、かつ、所有していれば特例の適用を受けられる。
【被相続人と別居の親族】
被相続人に配偶者がいないことや、
相続開始前3年以内に取得者や配偶者名義などの家に住んでおらず、
過去にその家を所有したことがないこと等
上記の他いくつか要件あり。
全ての要件を満たせば特例の適用を受けられる。
適用が受けられれば、自宅面積の330㎡を限度とし、評価額を80%減額できます。
- 特定事業用宅地
被相続人や生計を一にする親族の事業に使われていた宅地等のこと。
被相続人が事業を始めたのが相続開始前3年以内でない場合で、
親族が相続し申告期限まで所有して事業を営んでいれば特例の適用を受けられます。
適用が受けられれば、事業用宅地面積の400㎡を限度とし、評価額を80%減額できます。
なお、小規模宅地等の特例の適用を受けるには、
相続税の申告期限までに遺産分割が済んでいる必要があります。
終わりに
期限後申告は無申告加算税と延滞税が上乗せされます。
申告・納付期限は可能な限り厳守しましょう。
次回は、相続人になれる人についてご紹介します。
※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤った情報や古い情報が入り込んでいる可能性がございます。詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。