相続税はたくさん財産がある人のものだから、自分とは関係ない…と思っていませんか?
平成27年の改正で、相続税の基礎控除(申告不要とする額)が引き下げられたことにより、
多くの人が相続税の申告対象となっています。
前回まで相続の流れを全5回に渡ってお届けしてきましたが、
今回からは相続税をより知っていただけるように、
令和5年度の税制改正をメインにおさえておきたいポイントをご紹介していきます。
教育資金一括贈与の非課税特例延長
親や祖父母が子や孫への教育資金を一括で贈与する場合、
1,500万円まで非課税にできるしくみです。
子や孫は原則30歳未満であり、贈与財産は信託銀行などに預け入れることが主な条件です。
ただし23歳以上の子や孫については、学校ではない趣味や習い事の費用の場合、
非課税の対象外となりますので注意してください。
その優遇措置の期限が2023年3月末から3年延長することとなりました。
ただし、相続税の課税対象の財産が5億円を超える富裕層については、
非課税とする条件を制限するなど見直しが行われています。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例
親や祖父母が子や孫への結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、
1,000万円まで非課税にできるしくみです。
受贈者が18歳以上50歳未満であることの他、
贈与財産を信託銀行などに預け入れることなどの条件があります。
この優遇措置の期限は2023年3月末から2年延長することとなりました。
生前贈与の加算対象期間等の見直し
被相続人が存命中に贈与をすると生前贈与となります。
生前贈与のうち、加算対象期間内に行われた贈与については、
相続財産に加算する必要があります。
この加算対象期間について今までは、相続開始前3年以内となっていました。
しかし、令和5年度の税制改正により、
加算対象期間は相続開始前7年に拡大することとなりました。
具体的な相続開始日と加算対象期間は次のとおりです。
相続開始日 → 加算対象期間
令和6年1月1日~令和8年12月31日 → 相続開始前3年間
令和9年1月1日~令和12年12月31日 → 令和6年1月1日~相続開始日
令和13年1月1日~ → 相続開始前7年間
相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税を選択した受贈者が特定贈与者から生前贈与を受ける場合は、
特別控除として2,500万円まで贈与税が非課税になりますが、
特定贈与者が亡くなった時には、相続時精算課税により
贈与した財産の全額を相続財産に加算する必要がありました。
※特定贈与者とは、相続時精算課税選択届出書に係る贈与者をいいます。
令和5年度の税制改正により、
令和6年1月1日以後贈与により取得した財産の価格は
基礎控除額(年110万円を限度とする)を控除した残額とされますので、
特定贈与者が亡くなった時には、相続時精算課税により贈与した財産の内、
基礎控除額を控除した残額を相続財産に加算すればいいこととなります。
納付方法
税金の納付方法は、金融機関や税務署の窓口、QRコードを利用したコンビニでの支払いなど、
様々な方法があります。
令和4年1月からは、スマホアプリ納付も開始になりました。
スマホアプリ納付とは、利用可能なPay払いを選択し納付する方法です。
- 利用可能なPay払い
PayPay ・ d払い ・ au PAY ・ LINE Pay ・ メルペイ ・ Amazon Pay
ただし、スマホアプリ納付は利用上限金額が30万円のため、
税額を確認してご利用ください。
終わりに
令和5年度の税制改正をメインにご紹介しました。
相続税は意外と身近に関わってくることなのかもしれません。
次回は相続税の申告について、
特例の適用をメインにご紹介してきます。
※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤った情報や古い情報が入り込んでいる可能性がございます。詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。